改正私立学校法~理事の資格要件

理事の人材要件

改正私立学校法第三十条より、理事は、私立学校を経営するために必要な知識又は経験及び学校法人の適正な運営に必要な識見並びに社会的信望を有する者という条件があります。

理事の資格~なれない者

改正私立学校法第三十一条第1項から第3項に記載されてます。次の者はなれません。
①法人

②心身の故障のため職務の適正な執行ができない者として文部科学省令で定めるもの
文部科学省令では、精神の機能の障害により職務を適正に執行するに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者となってます。

③学校教育法第九条各号のいずれかに該当する者
学校教育法第九条各号では、以下のようになってます。
ⅰ)禁錮以上の刑に処せられた者
ⅱ)教育職員免許法第十条第一項第二号又は第三号に該当することにより免許状がその効力を失い、当該失効の日から三年を経過しない者
教育職員免許法第十条第一項第二号又は第三号に該当とは、要は、公立学校教員として懲戒免職や分限免職を受けた人のこと。
ⅲ)教育職員免許法第十一条第一項から第三項までの規定により免許状取上げの処分を受け、三年を経過しない者
教育職員免許法第十一条第一項から第三項までの規定とは、要は、国立学校、公立学校、私立学校の教員で懲戒免職、分限免職、法令違反を故意に行った等で免許状を取り上げられるなどの処分である。
ⅳ)日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
オウム真理教等であろうと思う。

④私立学校法の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

⑤学校法人が法令違反等で所轄庁の解散命令により解散を命ぜられた場合において、その解散の日前三十日以内に当該学校法人の役員であつた者でその解散の日から二年を経過しないもの

⑥理事や監事で法令違反の訴えを提起され、その確定判決によつて学校法人の役員を解任された者や、法令違反等で所轄庁による勧告を受けて学校法人の役員を解任され、解任の日から二年を経過しない者

⑦理事は、監事又は評議員を兼ねることができない。

上記を纏めると、法人、職務を適正に執行できない精神疾患を持った人、懲戒免職等、法令違反等を受けて職務を行うのに適さない人、執行と監視・監督の役割の明確化・分離の観点から監事、評議員は兼任できないことになる。

理事の資格~含まれる必要がある者

改正私立学校法第三十一条第4項から第7項に記載されてます。

①当該学校法人の設置する私立学校の校長(学長、園長含む)

②選任の際、現に当該学校法人の役員及び職員並びに子法人役員及び子法人に使用される者のいずれでもない者
つまり、外部理事であり、大臣所轄学校法人等については百四十六条第1項より外部理事は2人以上必要です。

③理事は、他の二人以上の理事、一人以上の監事又は二人以上の評議員と特別利害関係(一方の者が他方の者の配偶者又は三親等以内の親族である関係その他特別な利害関係として文部科学省令で定めるものをいう。以下同じ。)を有するものであつてはならない。

④他の理事のいずれかと特別利害関係を有する理事の数は、理事の総数の三分の一を超えてはならない。

特別利害関係

改正私立学校施行規則の第十二条に記載があります。

第十二条 法第三十一条第六項(法第百五十二条第六項において準用する場合を含む。)の特別な利害関係として文部科学省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 一方の者が他方の者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある関係
二 一方の者が他方の者の使用人である関係
三 一方の者が他方の者から受ける金銭その他の財産によつて生計を維持している関係
四 一方の者が他方の者の前二号に掲げる関係の者の配偶者である関係
五 一方の者が他方の者の第一号から第三号までに掲げる関係の者の三親等以内の親族であつて、これらの者と生計を一にする関係

要は、自らの意思でなく、ある理事の意思決定に従うおそれがあるものは特別利害関係がありますということです。

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