改正私立学校法~大臣所轄学校法人等の特例~その⑤
大臣所轄学校法人等の定義
改正私立学校法の第百四十三条に記載がある。
①文部科学大臣が所轄庁である学校法人
②①以外の学校法人でその事業の規模又は事業を行う区域が政令で定める基準に該当するものをいう。
政令で定める基準
改正私立学校法施行令の第三条に記載がある。事業の規模基準もしくは事業を行う区域基準のどちらかに該当すれば大臣所轄学校法人等となる。
①事業の規模基準
以下のいずれかに該当した場合、大臣所轄学校法人等となる。
・最終会計年度に係る収支計算書に基づいて計算した経常的な収益の額が十億円以上であること。
・最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二十億円以上であること。
上記の収支計算書や貸借対照表は理事会等で承認をうけたもので直近のものになる。
成立して間もない学校であれば成立の日における貸借対照表で判断することになる。
②事業を行う区域基準
以下のいずれかに該当した場合、大臣所轄学校法人等となる。
・三以上の都道府県の区域内に私立学校、私立専修学校又は私立各種学校を設置していること。
・広域の通信制の課程を置く私立高等学校(私立中等教育学校の後期課程を含む。)を設置していること。
大臣所轄学校法人等の特例
改正私立学校法では、大臣所轄学校法人等の特例には以下、定められている。
①会計監査人の設置の特例
②常勤の監事の選定の特例
③理事の構成及び報告義務の特例
④評議員会及び評議員の特例
⑤体制の整備及び中期事業計画の作成等
⑥計算書類等及び監査報告並びに財産目録等の特例
⑦寄附行為の変更、解散及び合併の特例
⑧情報の公表の特例
体制の整備及び中期事業計画の作成等
体制の整備及び中期事業計画の作成等は改正私立学校法第百四十八条で定められている。
①大臣所轄学校法人等は、理事の職務の執行が法令及び寄附行為に適合することを確保するための体制その他学校法人の業務の適正を確保するために必要なものとして文部科学省令で定める体制の整備をしなければならない。
②大臣所轄学校法人等は、事業に関する中期的な計画(中期事業計画)を作成しなければならない。
③理事会の決定事項である第三十六条第三項第六号の「予算及び事業計画の作成又は変更」が「予算及び事業計画並びに中期事業計画の作成又は変更」に読み替えられる。第三十六条第四項にも適用されるため理事会で決定するときには、あらかじめ、評議員会の意見を聴かなければならない。
④大臣所轄学校法人等(文部科学大臣が所轄庁である学校法人に限る。)は、事業計画及び中期事業計画を作成するに当たつては、学校教育法第百九条第二項に規定する認証評価の結果を踏まえなければならない。
文部科学省令で定める体制
私立学校法施行規則の第十三条で以下のように定められている
①理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
②損失の危険の管理に関する規程その他の体制
③理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
④職員の職務の執行が法令及び寄附行為に適合することを確保するための体制
⑤監事がその職務を補助すべき職員を置くことを求めた場合における当該職員に関する事項
⑥前号の職員の理事からの独立性に関する事項
⑦監事の⑤の職員に対する指示の実効性の確保に関する事項
⑧理事及び職員が監事に報告をするための体制その他の監事への報告に関する体制
⑨⑧の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
⑩監事の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
⑪その他監事の監査が実効的に行われることを確保するための体制