改正私立学校法~大臣所轄学校法人等の特例~その⑦
大臣所轄学校法人等の定義
改正私立学校法の第百四十三条に記載がある。
①文部科学大臣が所轄庁である学校法人
②①以外の学校法人でその事業の規模又は事業を行う区域が政令で定める基準に該当するものをいう。
政令で定める基準
改正私立学校法施行令の第三条に記載がある。事業の規模基準もしくは事業を行う区域基準のどちらかに該当すれば大臣所轄学校法人等となる。
①事業の規模基準
以下のいずれかに該当した場合、大臣所轄学校法人等となる。
・最終会計年度に係る収支計算書に基づいて計算した経常的な収益の額が十億円以上であること。
・最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二十億円以上であること。
上記の収支計算書や貸借対照表は理事会等で承認をうけたもので直近のものになる。
成立して間もない学校であれば成立の日における貸借対照表で判断することになる。
②事業を行う区域基準
以下のいずれかに該当した場合、大臣所轄学校法人等となる。
・三以上の都道府県の区域内に私立学校、私立専修学校又は私立各種学校を設置していること。
・広域の通信制の課程を置く私立高等学校(私立中等教育学校の後期課程を含む。)を設置していること。
大臣所轄学校法人等の特例
改正私立学校法では、大臣所轄学校法人等の特例には以下、定められている。
①会計監査人の設置の特例
②常勤の監事の選定の特例
③理事の構成及び報告義務の特例
④評議員会及び評議員の特例
⑤体制の整備及び中期事業計画の作成等
⑥計算書類等及び監査報告並びに財産目録等の特例
⑦寄附行為の変更、解散及び合併の特例
⑧情報の公表の特例
寄附行為の変更、解散及び合併の特例
寄附行為の変更、解散及び合併の特例は改正私立学校法第百五十条で定められている。
①寄付行為の変更は、通常、理事会の決議でできるが、評議員会の決議がなければ効力を生じない(軽微な変更として文部科学省令で定めるものを除く。)。そのため、理事会は、あらかじめ評議員会の意見を聴く必要もない。
②学校法人の解散は、通常、理事会の決定でできるが、大臣所轄学校法人等は、評議員会の決議がなければ効力を生じない。そのため、理事会は、あらかじめ評議員会の意見を聴く必要もない。
③学校法人の合併の決定は、通常、理事会の決議でできるが、評議員会の決議がなければ効力を生じない。そのため、理事会は、あらかじめ評議員会の意見を聴く必要もない。
軽微な変更として文部科学省令で定めるもの
私立学校法施行規則の第五十四条に定められている。
①事務所の所在地。
②理事会の招集その他理事会に関する事項(理事会の決議に係る事項を除く)。
③評議員会の招集その他評議員会に関する事項(評議員会の決議に係る事項を除く)。
④会計監査人を置く場合には、その旨及び定数その他会計監査人に関する事項
⑤資産及び会計に関する事項
⑥公告の方法
⑦私立学校法第二十三条第一項各号で定められている寄付行為に少なくとも定める必要のある事項以外の事項
⑧設置する私立学校の名称及び当該私立学校に課程、学部、大学院、大学院の研究科、学科又は部を置く場合には、その名称又は種類。ただし、学校教育法第四条第二項の、認可を受けることを要しないこととされた事項等の一定の要件を満たす場合のみ。