改正私立学校法の考え方

はじめに

文部科学省で出している「私立学校法の改正に関する説明資料(令和6年7月8日更新)」では以下のような考え方を示しているようです。

改正私立学校法の趣旨

我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼を得て、一層発展していくため、社会の要請に応え得る実効性のあるガバナンス改革を推進
するための制度改正
を行う。
幅広い関係者の意見の反映、逸脱した業務執行の防止を図るため、理事、監事、評議員及び会計監査人の資格、選任及び解任の手続等
並びに理事会及び評議員会の職務及び運営等の学校法人の管理運営制度に関する規定や、理事等の特別背任罪等の罰則について定める。

改正私立学校法の基本的な考え方

1.ガバナンス改革の目的
ガバナンス改革は、学校法人自らが主体性をもって行わなければならない。ガバナンス改革は「手段」にすぎず、それ自体が「目的」ではない。
ガバナンス改革は、私学助成や基金などの他の政策手段とあいまって、私立学校の教育・研究の質を向上させるための1つの手段である。

2.理事会と評議員会の権限関係
今回の改正では、「意思決定機関」は理事会であり、評議員会は「諮問機関」であるという基本的な枠組みは維持する。
その上で、評議員会等による理事会等に対するチェック機能を高めることとしている。

3.「対立」ではなく「協働」
今回の改正においては、執行(理事会)と監視・監督(評議員等)の役割を分離することを基本的な考えとしているが、理事会と評議員会が対
立してしまうことは望ましくない。
理事会と評議員会が相互にけん制しあいながらも、建設的に協力し、時には議論しあい、充実した納得感のある学校法人運営を目指すものである。

4.不祥事を防止する複層的な仕組み
今回の改正では、不祥事を防止する仕組みとして、人事上の仕組みのほか、不正等の防止や緊急措置の仕組みを整備している。
人事は適材適所の観点から、不正等の防止は危機管理の観点から、それぞれ運用されることとなる。

改正私立学校法の概要

執行と監視・監督の役割の明確化・分離」の考え方から、理事・理事会、監事及び評議員・評議員会の権限分配を整理し、私立学校の特性
に応じた形で「建設的な協働と相互けん制」を確立。として、改正私立学校法の基本的な考え方を踏襲してます。
以下は、具体的な内容です。

1.役員等の資格・選解任の手続等と各機関の職務・運営等の管理運営制度の見直し

① 理事・理事会
・理事選任機関を寄附行為で定める。理事の選任に当たって、理事選任機関はあらかじめ評議員会の意見を聴くこととする。 (第29条、第30条関係)
・理事長の選定は理事会で行う。 (第37条関係)

② 監事
・監事の選解任は評議員会の決議によって行い、役員近親者の就任を禁止する。 (第31条、第45条、第46条、第48条関係)

③ 評議員・評議員会
・理事と評議員の兼職を禁止し、評議員の下限定数は、理事の定数を超える数まで引き下げる。 (第18条、第31条関係)
・理事・理事会により選任される評議員の割合や、評議員の総数に占める役員近親者及び教職員等の割合に一定の上限を設ける。 (第62条関係)
・評議員会は、選任機関が機能しない場合に理事の解任を選任機関に求めたり、監事が機能しない場合に理事の行為の差止請求・責任追及を監事に求めたりすることができることとする。 (第33条、第67条、第140条関係)

④ 会計監査人
・大臣所轄学校法人等では、会計監査人による会計監査を制度化し、その選解任の手続や欠格要件等を定める。(第80条~第87条、第144条関係)

2.学校法人の意思決定の在り方の見直し

大臣所轄学校法人等においては、学校法人の基礎的変更に係る事項(任意解散・合併)及び寄附行為の変更(軽微な変更を除く。)につき、理事会の決定に加えて評議員会の決議を要することとする。(第150条関係)

3.その他

・監事・会計監査人に子法人の調査権限を付与する。(第53条、第86条関係)
・会計、情報公開、訴訟等に関する規定を整備する。(第101条~第107条、第137条~第142条、第149条、第151条関係)
・役員等による特別背任、目的外の投機取引、贈収賄及び不正手段での認可取得についての罰則を整備する。 (第157条~第162条関係)

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